2019年   脳の萎縮を防ぐ運動
頭がさえて、脳疾患になりにくくなるのは、ぢちらだろう?
(A)頭を使う難しいパズルを解く
(B)散歩する
正解は(B)である。体を動かすという単純な行為のほうが、どんな脳パズルや数学の難問を解くよりも脳にいいのだ。運動は体、特に脳の健康にいい効果が多くある。有酸素運動は脳の記憶中枢の新たな脳細胞の成長をうながし、中高年層の記憶力低下を逆転させることが明らかになっているだけでなく、長寿につながる遺伝子を刺激してくれる。運動が脳の健康にいいことは以前からわかっていたが、実際に量的にも質的にもそれが証明されるようになってきたのは、ほんのここ10年である。それには、神経科学、生理学、生物工学、心理学、
人類学など、さまざまな分野の研究者と、多岐にわたる医学領域の医師たちの力を結集させる必要があった。ニューロンなど、脳の内部のしくみに関する分析や解明には、多くの先進技術の発達も必要だった。「運動と脳の健康とのつながりは非常に密接」であり、運動は「脳の萎縮を防ぎ、認知における柔軟性が高い脳をつくる」。つまり脳の健康をつくるためには体を動かすことが、手っ取り早く効果があるということである。

私たちの遺伝子
私たちの遺伝子は何百万年もかけて、食料を探し求めて動き続ける状況の中で進化してきた。つい最近まで、私たち人類は常に体を活発に動かしていたのだ。実際、私たちの遺伝子は頻繁に運動することを想定している。生命を維持するため、定期的な有酸素運動を必要としているのである。私たちの祖先たちは、補色者より早く走れて、食料になる貴重な獲物を探し出せたので、食事をつくり、食べてエネルギーを得て、生き残ることができたのだ。そして、そうした持久力を持った当時の「運動選手たち」の遺伝子が受け継がれたという。思考して推論し計画する能力が高まった初期の人間は、獲物を狩って殺すといった、生き抜くために必要な技術を磨いてきた。そして動けばますます機敏になって頭がさえ、動き続けることも、より効率的に動くことも可能になった。やがて人類は複雑な思考を始め、数学や顕微鏡、ノートパソコンなどを発明することになる。

1回20分以上の有酸素運動を週5回以上
ハーバード大学の研究者は、年配の女性たちにおける運動と認知機能との強い結びつきを確認し、こう結論づけた。「この高齢女性の調査では、長期間の定期的な身体活動の増加は『認知機能の向上』と『認知力低下の減少』と密接に関連した。具体的に言えば、身体活動が増えると、認知力への影響は明らかに、約3歳も若返るほどに匹敵し、認知機能障害のリスクも20パーセント低下する」

運動はインシュリン感受性も高める
運動は血糖のバランス管理に役立ち、タンパク質の糖化を減らす。これが事実であることは、ヘモグロビンAICへの運動の効果に関する研究からわかってきた。研究者は300人の参加者にライフスタイルを変えないよう指示し、他方300人の別の参加者には週に3日の運動プログラムを課した。16週間後、ヘモグロビンAICが、運動したグループは0・73減ったが、運動しなかったグループは0・28増えた。これらの数値を当てはめると、もしヘモゴロビンAICが6・0なら、運動によってもたらされる0・73の減少は、ヘモグロビンAICのおよそ12パーセントの減少になり、これは糖尿病の薬と同等になるほどの効果である。


私たちはエベレスト登山を目指す必要はない。耐久レースのトレーニングをする必要もない。だが心臓を拍動させる定期的な運動は絶対必要である。現在までの多くの研究と動物実験が、ランニングか水泳、サイクリング、ハイキング、活発なウオーキングなどの有酸素運動を少なくとも週5回、1回につき20分以上を必要としている。すでに定期的に運動している人は、運動の時間や強度を増やすことや、新しい運動を試してみたはいかがだろうか。
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